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PSO2やPSO2:NGS(ファンタシースターオンライン2 ニュージェネシス)の攻略、最新情報などを分かりやすくまとめてます。

【PSO2×MHF-Z】相互コラボ記念スペシャル座談会【ファンタシースターオンライン2×モンスターハンターフロンティア Z】

 

2大オンラインアクションの開発者が一堂に会する座談会を開催!

PSO2」と「MHF-Z」、両者がコラボに至った経緯や開発の裏話、さらには今後のオンラインゲームの展望までとことん語り尽くす会!

 

いきなり驚きの裏話!!コラボの回答は撮影当日

―――あらためてコラボに至った経緯、実装までの過程を教えてください。

 

宮下:「MHF-Z」10周年の企画で、「MHF-Z」にかかわってくださった方やオンラインゲーム業界の著名な方のところへ行ってコメントをいただく企画がありました。そのなかに「なんかちょ~だい!」というコーナーがありまして、酒井さんに「コラボさせてもらえませんか」と言ったら即答で「やりましょう」と言っていただいたのがきっかけです。

 

―――あの動画は台本があって、コラボは事前に決めていたわけではないのですか?

 

宮下:台本はありましたが、どんな話をするという項目だけでしたね。

 

砂野:交渉サイドとしては事前にお話させていただきましたが、返事は撮影当日おうかがいさせてくださいという流れでした。

 

酒井:でも、木村には事前に聞きましたよ。コラボをやるって聞かれたら「いい」と答えていい?って。

 

―――そこは木村さんに決定権がある?

 

木村:開発スケジュールは大丈夫かという話で、そこはディレクターの判断です。時期しだいですが、やるかやらないかという話であればOKですよと。

 

小泉:こちら側は(宮下Pからディレクター陣に対して)全然そんな話はなかったですね。(笑)。

 

砂野:帰ってきたら「酒井さんからコラボOKもらってきたよ」って。

一同:(笑)。

 

木村:動画を撮った段階では、お互い本当に何も決まってなかったんです。そのあと、うちのほうで企画書を作ってTGS2017のときにセガの楽屋で打ち合わせをさせてもらいました。

 

―――その段階でどれくらいの内容が決定を?

 

木村:そのときは「PSO2」側でやる内容だけでしたね。

 

宮下:うちはまだ検討中という段階でした。

 

砂野:本当にたたき台レベルのものだけはお送りさせていただいた感じで。

 

木村:当時はモンスターを出す予定はなくて、コスチュームや武器迷彩といったアバター要素が中心でした。

 

酒井:コラボロビーを作りましょうって話はあったね。

 

砂野:はい、その場でいろいろなご提案をいただきました。

 

木村:TGS2017の電撃さんの放送でもコラボの発表をさせていただいたのですが、「どのモンスターがくるのか?」というユーザーさんの反応を見て、これはやらざるを得ないと。ただ、スケジュール的なものもありますし、「たいへんだけどモンスターを作りたいか?」と現場に確認したところ、無理でもやりたいと言ってくれたので、すぐにメールを送りました。

 

宮下:そのメールを受けて、こっちも「作ってもらえるの!?」となったんですが、作ってもらえるならぜひにということで、すぐに社内の上まで一気にバーッと確認をとりました。

 

木村:モンスターに関しては「MHF-Z」が10週年ということに加え、炎と氷のカラーリングが「PSO2」のイメージと合致したのでエルゼリオンに決まりました。

宮下:エルゼリオンはうちの「MHF-Z」のなかでも異質なモンスターですが、うまいこと「PSO2」に溶け込ませてもらっているんじゃないでしょうか。

 

―――そのあとはもう今のコラボの形に?

 

 

木村:とにかくモンスターの作成に一番時間がかかるので、それだけは先に承認いただき、即開発をはじめて、剥ぎ取りや部位破壊といった要素もあとから追加していきました。

砂野:だんだんと増えていって、作るのはたいへんだったと思います。

 

木村:「PSO2」のシェーダーで表現するのは四苦八苦しましたね。モンスターも特殊なエフェクトですし。

 

小泉:エルゼリオンはうちのモンスター担当の集大成とも言うべき渾身のエフェクトですからね。

 

木村:見た目に関しては酒井に見てもらって、モンスターが3~4回、フィールドは5回もリテイクがありました。

 

酒井:普通にライティングしただけでは、のっぺりしてキレイにはならないんですよ。

 

―――そのリテイクの回数は普段よりも多い?

 

酒井:多いですね。「PSO2」ではラスボスクラスで、それくらいリテイクがあるかな、というレベルです。

 

木村:「PSO2」のエネミーであればボクらの感性の話ですが、コラボですから最低でも本物には並ばないといけません。

 

酒井:並んで、それを超えないと「PSO2」で出す意味はないと言いました。

 

―――「MHF-Z」チームは、実際にできあがったものを見てどう感じられましたか?

 

宮下:「えっ、これどっちの画面なの?」ってなりましたよ(笑)。

砂野:最初にいただいた画面は(フィールドだけで)アークスは映ってなかったので本当にわからなかったです。

 

木村:フィールドはライトの位置で影の落とし方が変わってくるので、影の位置ってどこが正しいんですかとか、そんなやりとりをしました。

 

宮下:古塔は天辺の光の当たり方などが特殊なので、そこは何回かやりとりしましたね。

小泉:かなり細かくチェックさせてもらいました。

 

木村:それでも現場でのリテイクの甲斐あってか、やりとりは1~2回くらいですかね。

 

小泉:我々もコラボ武具だけでなく、コラボビジュアルのラッピーも酒井さんに直接見てもらいました。

 

酒井:ここはこういうふうに直してほしいって書きましたよ。

 

―――具体的にはどういった指示だったんですか?

 

小泉:羽毛の感じを直してほしいと。

 

酒井:硬そうな毛の質感になっていたので、もっとなでつけるようなフワッとした表現にしてほしいと。自分で画像をフォトショップで修正させていただいて送りました。

 

木村:「MHF-Z」はリアル系というか現実に近い表現ですけど、「PSO2」はどちらかといえばアニメ寄りです。「MHF-Z」の世界観にラッピーを落とし込んでいただいたときのデフォルメ具合が結構違っていて。

 

小泉:だいぶ野性的なラッピーでした。

一同:(笑)。

 

―――エルゼリオンを作るうえで一番苦労したところはどこですか?

 

木村:同じアクションMOタイプのゲームですが、プレイヤーの挙動がまったく違うところです。スピードも違うし「PSO2」にはジャンプもあるので、再現はするもののシステムとしては違うものでやらなければいけません。そういったところをどう落とし込むかに気を使いました。

 

小泉:遊びの部分ですね。

 

木村:動画で見ても、もしかしたらプレイしても全然わからないかもしれませんが、実際にはエルゼリオンのスピードや攻撃範囲が大きく違います。

そういったところを違和感なく、遊んでもらえるように合わせました。エルゼリオンはコンセプトがはっきりしていて、属性を相殺する遊びなどは落とし込みやすかったですね。

 

―――試遊では普通の「PSO2」のエネミーとは全然違った印象を受けました。

 

木村:正直、今回のコラボはいろいろと勉強になりました。モーションの作り方もそうですけど、いろいろな素材を提供いただいて「なるほど、こういう作りなんだ」と。

 

宮下:バレた(笑)。

 

―――エルゼリオンの咆哮に対するリアクションも「PSO2」にはない要素でしたね。

 

木村:作っていくうちに「これはやらなきゃ」って現場が言ってくるんですよ。

小泉:要望リストがどんどん増えていきました。

 

木村:こちらも何回も要望を出させてもらって申し訳なかったです。

 

―――先ほどお話にでた剥ぎ取りも途中から追加したんですよね?

 

木村:剥ぎ取りは2回目くらいの要望のときだったかな。最初はモンスターを入れます、こういう仕様にします。次が剥ぎ取りと部位破壊を入れたいです。どうせならUIも表現したいです。最後はフィールドもお願いしますって。

 

―――TGS2018での試遊も決まっていたのですか?

 

木村:コラボの時期は11月に決まっていたので、TGSは絶好のプロモーションタイミングでしたし、今年の6月の打ち合わせのときにその場で思いついて「TGSで置いても大丈夫ですか?」とご相談させていただいて。

 

宮下:うちとしては、出してもらえるならぜひと。

 

木村:実際TGSで出してみて、ユーザーさんの評価を見てからの調整も考えていたのですが、おおむね好評だったので安心しました。

 

―――TGSと言えば、4人(酒井氏、木村氏、宮下氏、砂野氏)でプレイしている写真もTwitterにアップされていましたね。

 

宮下:ボクがすごい顔してる写真ね。

砂野:顔芸。

宮下:顔芸じゃないよ、自然な顔だよ。

一同:(笑)。

 

木村:対象的にボクと酒井はムッツリして見えてしまったかも。自分たちで作ったゲームだから、どうしても仕事モードになっちゃうんですよ。

 

酒井:あらためていろいろとチェックしながら見ていたら、いつの間にか撮影されていましたね。オリジナルを開発したみなさんとプレイするのは、ちょっと緊張しましたね。

宮下:ボクは純粋に楽しませてもらいました。もとのエルゼリオンと似ているところだったり、これはちょっと遊びが違うなっていうところを。

 

小泉:プレイヤーの動きが全然違いますからね。

 

宮下:そうそう、いろいろと試しながら「ここはこうか!!」って。

 

砂野:耳をふさぐモーションも「MHF-Z」なら自然ですけど「あれ?これ『PSO2』にあったっけ!?」ってふと気づく感じだったり、エルゼリオンも見慣れているけど自分の動きが違っていたり、そういったところがすごく新鮮でした。

 

宮下:めっちゃ避けられる!!って(笑)。

 

―――シエラの「ひと狩り行きましょう!」というセリフなども意識して入れたのでしょうか?

 

木村:普段なら絶対に書けないですからね。「狩り」や「狩猟解禁」ってフレーズはすごくキャッチーじゃないですか。

 

酒井:最初にPVを作ったときは「狩猟開始」になっていたんですけど、ここは「狩猟解禁」にしてくださいって返ってきてしっくりきました。

 

―――コラボ専用クエストではなく、フリーフィールドで登場させる理由は?

 

木村:最初は専用クエストを入れるところまではスケジュール的に無理だという判断でした。でも、ガッツリとした進行型クエストは難しいけれど、1エリアならできるだろうということでトリガークエストを作ったんです。

フリーフィールドだとおおざっぱな戦闘になってしまいがちですが、専用フィールドなら集中して戦えるし、3回戦闘不能でクエスト失敗の再現もできました。

 

―――フリーフィールドの難度XHはこのコラボのために用意したのでしょうか?

 

木村:フリーフィールドのテコ入れをしたいとは前々から考えていました。今回、エルゼリオンをフリーフィールドに出すということになって、それなら難度XHと同時に出したら相乗効果になっていいんじゃないかと考えました。

エルゼリオンは難度に関係なく「幻惑の森」を除く全てのフリーフィールドに出現しますが、ユーザーさんが分散しても仕方ないので集まりやすい場所を作りました。

 

―――コラボコスチュームをアスールシリーズに決めたのはどういった理由でしょうか?

 

木村:「MHF-Z」が好きな開発スタッフに「うちのユーザーさんに受けそうな装備をチョイスしてほしい」と言って、そこで候補に上がってきたもののなかから選びました。実装時の背景なども聞いて、これだと思いましたね。

 

砂野:初期に実装した装備で、当時はかなり入手が難しかったんです。それでも欲しいという人がいっぱいいました。

 

木村:剣士とガンナーのどちらにするかなども、その開発スタッフに詳しく聞いて、東武がガンナー、胴体は剣士という組み合わせになりました。

 

宮下アスールシリーズはカラーリングも人気ですし、「PSO2」ユーザーさんにもかわいいと言ってもらえるんじゃないかと思います。

 

木村:PVでは出せなかったのですが、カラーバリエーションも用意します。

 

砂野:「MHF-Z」にあるカラーバリエーションは全部登場させていただく予定です。

 

木村:ボクも昨日チェックしたばかりで、さっき渡しました。

 

宮下:これからチェックします。

一同:(笑)。

 

   

 コラボだからこそいつもとは違うものを

―――「MHF-Z」側のコラボの内容ですが、選考基準がマニアックな印象を受けました。

 

砂野:社内の開発スタッフのなかで検討したもので、ほぼ最初からこの4案になりました。

 

小泉:ボクと砂野と企画のスタッフ、あとはデザイナーのなかにも「PSO2」ユーザーがいて、そこで相談して「うちに入れるならこれとこれとこれだろ」みたいな。ちょっと年齢の高い方が好まれるであろう選択になったと思います。

 

宮下:「MHF-Z」も今年で11年目なので、やはりユーザーさんの年齢も上がってきています。それを考えると、「PSO」でおなじみのキャラを入れたほうが喜ばれるのではんないかという判断でキリークは決まりました。

 

木村:キリークは別にNGではなかったのですが、「PSO2」ユーザーのなかにも「PSO」をしらない方が増えてきたので、需要がないかもしれないというお話はさせていただきましたね。

 

小泉:それでも構わないです、返答しました。

 

木村:要望をいただいたときに、キャストが多かったことがうれしかったですね。だいたい4人選ぶとしたら3人が人型で1人がキャストという割合になるところですが、逆の比率でおもしろい!

 

小泉:「MHF-Z」の世界観では、キャストは絶対に作れないデザインですからね。あと、個人的にメカ好きなもので(笑)。

 

砂野:A.I.Sも同じ理由で決まりました。

 

―――NPCではないギリアムに決まったのはどういった経緯で?

 

小泉:(パーツの)ディスタ・シリーズを入れたいということが先にあって、それでギリアムに決めました。

 

木村:リサのイオニア・シリーズもそうですが、サービス初期に実装したパーツですから「PSO2」で言えばこれらかなと。

 

小泉:クーナは「歌姫」という単語に惹かれて選びました。「MHF-Z」にも歌姫というキャラクターがいるので歌姫コラボにしようって。

 

砂野:武器は歌姫舞扇、コスチュームもアメノウタヒメという歌姫つながりです。

 

―――歌姫舞扇以外の武器はどのように決まったのでしょうか?

 

砂野:ソウルイーターはキリークつながりです。

 

小泉:ギリアムとリサは何かありますかと相談して、いろいろご提案いただいたなかから選んでいます。樽ラッピーキャノンはネタ枠、イデアルストレイダは「MHF-Z」のなかでランスの人気が上がっていた時期だったので入れました。

 

―――方々で話題になったラッピーシリーズはどうしてこのデザインになったのでしょうか?

 

砂野:これはもう予想どおりの反応をしていただいて、シメシメという感じです(笑)。

小泉:最初にデザインしていたものなんですけど、チーム内でも「これで大丈夫ですかね?」って。

 

砂野:怒られるかもしれないけど、とりあえず見てもらおうということになりました。

 

木村:正直おもしろいなって思いました。技術的には「PSO2」にある普通のラッピースーツを入れることもできるのだろうけど、それだと逆に面白味がないかもしれないし、これならユーザーさんの話題になるなと。

 

酒井:「MHF-Z」のコラボはそういう二度見したくなるような引っ掛かりがあるものを入れてきますよね。

 

小泉:たまにありますね、ヤンチャなデザインが。

 

―――「ラッピーとあそぼう」というクエストはどんな内容なのでしょうか?

 

小泉:ラッピーを討伐するというクエストではありません。HR1から受注できるようになっていて、すぐに遊べるようになっています。

 

宮下:ラッピーをひたすら愛でるクエストで、チュートリアルが終わってすぐ始められるので、アークスのみなさんもぜひ遊んでいただければと思っています。

 

砂野:両方のプレイヤーさんに遊んでもらおうということで、間口の広いクエストにしました。このクエストをクリアすると、パートニャー装備の「ラッピーネコシリーズ」やステータス画面の背景がもらえるようになっています。このクエストではローディング画面が「PSO2」6周年のイラストになっています。あとはレアドロップ的な何か、普段の「MHF-Z」にはない要素も入れさせていただきました。

 

小泉:クエストの曲もいただいたものを使用しています。

 

木村:「PSO2」はいろいろなクエストがありますが、こういう戦闘以外の遊びがメインのものは作れていないのが現状で、これにはハッとさせられました。「PSO」のときはこういったものもあったんですけどね。

 

―――イメージとしてはボーナスクエスト「特別任務:ラッピーフィーバー」に近いように見えます。

 

木村:あれも結局はラッピーを倒す戦闘じゃないですか。そういったものではないです。

宮下:うちはモンスター”ハンター”なのに狩らないクエストっていう。

 

砂野:普段が狩り中心だからこそ、こういう癒やしの時間も必要なんですよ(笑)。

 

―――メセポルタ広場にA.I.Sを置いた理由は?

 

小泉:メカだから(笑)。コラボじゃないとSFテイストなものは絶対に置けないですからね。

 

木村:その”コラボじゃないと”という気持ち、すごくわかります。

 

小泉:ユーザーさん的にも、パッと見てインパクトのある絵面になったと思います。

 

砂野:いつもと違うぞという象徴的なものとして、広場ならコラボクエストへ行かない人でも目に入りますし、今コラボをやっているよという入り口として機能するかなと。

 

小泉:最初に仮置きしたときも「ヤバイぞこれ」ってテンションが上がりました。

 

砂野:ワクワクしましたねえ。

 

木村:A.I.Sのカラーを赤にした理由はあるんですか?

 

砂野:最初のチェック段階では白だったんですが、プラモで赤のカラーリングが出ているのでどうですか、とご意見をいただいて変えました。

 

―――企画の段階で「PSO2」側のエネミーを入れるという案はなかったのでしょうか?

 

小泉:最初に宮下から話を聞いたときにチーム内でそういう相談をしましたが、当時のスケジュールやラインといったところを考えると厳しいという結論でした。

 

宮下:ボクはやろうと言っていたんですけどね。

 

砂野:ちょうど「MHF-ZZ」大型アップデートの作業まっただなかの時期でして、「ほかにも新モンスターも入れる予定があるなかで・・・という状況だったので。

 

木村:うちは以前にも版元さんから素材をいただくやりかたでのコラボエネミーを作った経験が何度かあるので、今回、多少無茶なスケジュールでも進行できましたが、経験してみないとなかなか見通しが立たないですからね。

 

小泉:そういった状況のなかでも、できるところでボリュームを出そうということで、今回のコラボ内容が決まっていきました。

 

―――武器のモデルは「PSO2」のものをそのまま使っているんでしょうか?

 

小泉:うちのほうが使えるポリゴン数が少ないので、端折っている部分はあります。

A.I.Sや防具もそうなんですが、ここは再現したいというところは残しました。「MHF-Z」のほうが古いタイトルなので、そこは限界があるんです。

 

酒井:いただいた素材を見て驚いたんですけど、「MHF-Z」のエルゼリオンは「PSO2」の通常ボスよりも豪華に作られていました。ウチはプレイヤーの数も多いし、ボスも複数体出たりしますから、より豪華に作れるんだなと。

 

小泉:エルゼリオンはフィールド上に1体しか出ないので、そこに力を入れています。これを何体も出したらメモリが足りなくなってしまいます。

 

木村:メモリの問題はたいへんですよね。

 

砂野:先日追加したマグネットスパイクも予定のアクションが全部入らなくて「どうしよう、どれか減らす?」という話もありました。

 

小泉:ほかの武器種の2倍のメモリを使っても足りない。

 

酒井:マグネットスパイクのPVを見させてもらいましたが、あれかっこよかったですねえ。

 

宮下:ここ(砂野氏と小泉氏)が滅茶苦茶リテイクをしていました。

 

   

オンラインゲーム運営の苦労について聞く

 

―――この話の流れに乗って、オンラインゲームの運営についておうかがいします。まずはお互いの作品に対する印象を聞かせてください。

 

宮下:「MHF-Z」はストーリー的なものがあまりないので、そこがうらやましい。あとはキャラクターのモデルですね。うちはゴツいので、あのシュッとしているのがうらやましいです。「MHF-Z」でも細めの装備を作っているんですけど、やっぱりゴツくなっちゃう。

 

小泉:あのプロポーションのコントロールは欲しいです。

 

酒井:「MHF-Z」については、うちが「PSU」を運営しているときにサービスインして、そのときにいろいろな施策を行われて、国産オンラインゲームのなかでも大きな成功をしたタイトルです。

その施策もおもしろくて、「PSO2」を始めるにあたって、いろいろと参考にさせてもらいました。

 

宮下:逆にこちらから見ても「PSO2」でこんな施策をやるんだ、やられたくやしい、というのもあります。

 

―――「やられた」と思うことはよくある?

 

木村:コラボがかぶったり、うちが仕込んでいるときに先に出されたときとか。

 

宮下:グッズとかね。うちはグッズがあまり出せていないので。

 

酒井:あと、公認ネットカフェ全国ツアー。

 

木村:うちも感謝祭やキャラバンをやってきましたが、全国47都道府県は想像できませんよ。

 

―――どちらもネットカフェでの展開に力を入れていますが、そこでもお互いを意識していますか?

 

木村:うちはけっこう意識していました。「PSO2」の運営が始まってからも「MHF-Z」がずっと1位で、1回くらいは1位を取りたいって思っていました。

 

酒井:どうやったらネットカフェに行ってもらえるのかを考えました。「カップルで行こうキャンペーンうちもやる?」みたいな。

 

宮下:ユーザーさんが集まれる場所ってそんなにないので、顔を突き合わせられる場所の提供という意味と、PCを持っていなくてもプレイできることですね。

 

砂野:最近は自宅にPCがないという方もいますし、ネットカフェに置いてあるPCのスペックもかなり上がっているので、よりよい環境で遊ぼうというお客様が集まっています。

 

木村:ネットカフェはマンガ喫茶も兼ねていることが多く、オンラインゲーム自体に興味がない方もいらっしゃいます。店舗でポスターや立て看板を積極的に使ってくれるので、パブリシティとしてはとてもいい場なんです。

 

砂野:興味があればすぐにその場で始められますからね。

 

木村:家庭用PCがタブレットに移行していく流れのなかで、オンラインゲームはハイスペックなPCが求められます。そういう意味では、ネットカフェは大事なプラットフォームの1つです。

 

―――両タイトルとも長期運営となっていますが、長く運営を続けるうえで重要視していることは?

 

木村:アップデートなどの未来に対する期待感というものは常に意識しています。

 

砂野:こちらの意図は発信しないと伝わらないので、チームが考えていることだったり、ここに関してはこう考えていますとか、情報を発信していくところは気にしています。言うのと言わないのと、何も言わずにバーンと出すのと何もしないのでは全然違いますから。

 

宮下:要望をくみ取るところはくみ取る、できないところはなんでできないのかを答えています。

 

小泉:すべての要望を受け入れるのは物理的にも無理ですからね。

 

―――ユーザーの要望はどこからくみ取るのでしょうか?

 

砂野:要望フォームからいただいたものを、毎週レポートにまとめてチーム内で共有します。状況によってはみんなで集まって相談して、そのなかでも重要なものは運営レポートに掲載しています。

 

木村:ブログやTwitterをすべてを見るのは不可能ですが、要望フォームは確実に見ますし、会社の中で整理して共有できます。うちもだいたい1週間に1回まとめていて、その要望が実際にどれくらい重要なものなのかを解析調査したうえで議題にしています。

 

―――どんな要望が多いのでしょうか?

 

小泉:あのモンスターを弱くしてほしい、この武器を強くしてほしい。

砂野:緩和してほしいという意見は多いですね。

宮下:でもカンタンにすると今度は難しくして、という意見が来るんですよ(笑)。

砂野:どんなものに対しても、両面の反応はありますね。

木村:「PSO2」はクラスや武器に対して強くして欲しいという意見が多くて、逆に敵を弱くしてほしいという要望はあまり来ません。

酒井:「MHF-Z」は全体的にちょっと難しめの調整ですよね。

宮下:そうですね。難しいものを攻略していく快感を楽しんでほしい。

砂野:試行錯誤も楽しみの1つだと考えています。

小泉:難しめの調整にしたほうが多くのハンターさんに遊んでいただけるというのが、実際の数字にも出てきます。

 

―――そういった状況で、今後のオンラインゲームはどうなっていくとお考えでしょうか。

 

木村:プラットフォームの垣根がなくなっていくだろうと考えています。スマホのスペックも上がってきているし、ネットワーク環境もよくなっています。ボクらが意識しなくてもプラットフォームが増えていく時代になるのかなと。「PSO2 クラウド」も運営していますが、ああいったプラットフォームの制限を受けない仕様で、いつでもどこでも遊べるようになっていくと思います。

 

酒井:ボクはスマホが今後のキーワードになると考えています。今、日本のなかではスマホがPCの位置へ乗り替わろうとしていて、ソーシャルゲームと言われていたものがネットワークゲーム化しつつある現状です。韓国では完全にリッチ化していて、過去に流行った「リネージュ」シリーズがスマホで遊べるようになっている。その流れが日本に来るかはわかりませんが、そうなっていく可能性は十分にあります。そう考えると、リッチなゲームでは一日の長がある我々がまだ活躍できる余地はあるのかなと。

 

宮下:街を見てもほとんどの方がスマホを持って歩いていますが、オンラインでつながっているなんて意識していないのではないでしょうか。普通のスマホのゲームが今でいうオンラインゲームに近く、それ以上のことがどこでも誰でもできるようになっていくのかなと考えています。

 

砂野:今後は5Gの通信環境へと変わっていきますし、もっと言えば5年後、10年後はスマホに替わるデバイスが生まれているかもしれません。どんなに形が変わっても、源流となったゲーム業界が新しいオンラインゲームを作るという形は変わらないと思うので、オンラインゲームを11年作ってきた我々としても、そのノウハウを生かしてよりよいものを作っていければと。同時に、VR・ARなどの自分たちが思ってもみなかった形で実現されているかもしれないと、ワクワクしながらやっていけたらなと考えています。

 

小泉:カジュアルなものと腰を据えて遊ぶものとで二極化するのかなと。個人的には、スマホで腰を据えて遊ぶのは厳しいと思っていて、ゲームハードやPCはこれからも高スペックになっていく。ゲーム作りは変わらなくても技術は進んでいくので、クリエイターのスキルがさらに必要になってくるんだろうなと思っています。新しいものにアンテナを張り巡らせていないと取り残されてしまう時代になるのかなという危機感があります。この業界に入った頃は3Dのゲームなんて夢のような話で、それこそドットをプチプチと打っている時代だったのが、今や実写かと思うようなゲームもありますからね。それでも、腰を据えて遊びたいという部分は変わらないと思いますし、スマホで気軽に遊ぶゲームもその方向でどんどん進化していくんだと思います。

 

―――最後に、それぞれのプロデューサーから読者に向けてメッセージなどをお願いします。

 

宮下:「MHF-Z」は先日、「MHF-ZZ」アップデートを実装させていただきました。マグネットスパイクという新武器種は重い武器種ではあれど、磁力を生かして要所要所でクイックに動いたりもできて、ハンターのみなさんからもご好評いただいています。新しいモンスターは、マグネットスパイクを使うと狩りやすくなる仕掛けが入っていたり、環境の変化に合わせたスキルの組み立ても含めて楽しんでいただけていると感じています。新規のユーザーさんはもちろん、休止しているユーザーさんにとってもかなり遊びやすくなっているので、一度ログインしてみてください。10月31日からは「PSO2」とのコラボも始まりますので、アークスのみなさんもハンターになって遊んでもらえたらうれしいです。

 

酒井:「PSO2」のほうは11月7日からコラボが始まります。コラボボスを入れるのは「FF14」のオーディン以来で、オンラインゲーム同士がコラボをするということ自体がなかなかありません。ボク自身も楽しみにしていたし、ユーザーさんにも楽しんでいただけると思っています。EP5のストーリーもちょうど終わるタイミングですので、その行く末もお楽しみに。これから年末に向けては、新レイドボスが登場するのでそちらも楽しみにしてください。EP5では大きな失敗があったと認識していますし、それをリカバーしていくということを1年半かけてやってきました。この1年半でやめてしまった方も、新しくなった「PSO2」をもう一度遊んでみてほしいです。そろそろ新しい展開をみなさん期待されていると思うんですけど、近々に発表できるかなというところです。EP5の轍は踏まないよう、我々もしっかりと臨みますので「PSO2」の今後にもご期待ください。

 

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